- 栄養が大事なのはわかるけど何を取ればいいかわからない
- たくさんある栄養素の役割がわからない
- どの食品にどんな栄養が含まれているかわからない
ダイエットや筋力向上には、運動だけでなく食事管理も当然必要です。
【筋トレ=たんぱく質】のようなイメージがあると思いますが、結論から言うとあらゆる栄養素がしっかり嚙み合うことで理想的な効果が得られます。
何より健康的な身体を作ることが大事ですから、栄養素の役割を知っていることで、口にする食材への向き合い方も大幅に変わるはずです。
「食べたいものを取る」ではなく「必要なものを取る」に少しずつシフトチェンジしていきましょう。
この記事を読むことで、ダイエットや筋力向上に必要な栄養素の役割を知ることができ、日々の食事管理に役立ちます。
忙しい中、効率的にダイエットに取り組むために参考にしてください。
生命維持に必要な五大栄養素+食物繊維
五大栄養素と食物繊維は人間が生きていくうえで欠かすことのできない栄養素になります。
五大栄養素+食物繊維
- 糖質(炭水化物)
- 脂質
- たんぱく質
- ビタミン
- ミネラル
- 食物繊維(炭水化物)
さまざまな栄養素は、複雑に絡みながらお互いに助け合って働きを高めます。そのため【バランスの良い食事】とは、なるべく多くの栄養素を取ることを意味します。
逆に言えば、何かが不足すると働きが不十分になるということですから、常日頃から単品料理ばかり食べるのは好ましくありません。
【糖質】活動するためのエネルギー源。不足すると力が出ない。
炭水化物から食物繊維を取り除いたものが【糖質】になり1gあたり4kcalです。糖質はさらに4つに分類されます。
参考までに糖の種類と特徴を簡単に載せておきます。糖質の分類は、簡単に言うと【糖の結合】によって分けられます。
糖が1つのものを単糖類、2つ結合したものを二糖類、多く重なっているものを多糖類と言います。
糖の結合が多いほど分解に時間がかかります。単糖類が最も体内への吸収が早い状態になり、吸収が速いほど血糖値が急上昇しやすくなりますので注意が必要です。
糖質のメリット
- 運動強度を上げられる
- 筋肉の分解を防ぐ
- 糖質が使われると成長ホルモンが分泌される
- 人間のエネルギー源
糖質が分解されると「グリコーゲン」という物質になります。グリコーゲンは一部筋肉に貯蔵され、運動する際に筋肉のエネルギーになってくれる必要な栄養素です。
そのため、グリコーゲンが不足すると筋肉が活動しにくくパワーが出しきれません。結果、運動強度が下がることにつながります。
糖質を摂取することで筋肉の出力をあげたり、運動後に摂取すれば、失ったグリコーゲンの補充により筋肉の分解を防ぐことができます。
また、筋トレのような無酸素運動を行い、糖質が使われると「乳酸」が体内で作られます。
強い運動ほど乳酸が作られ、乳酸が溜まり体内でストレスとして認識されると、脳から成長ホルモンの分泌を促してくれます。
糖質のデメリット
- 空腹時に過剰摂取すると血糖値が急上昇する
- 体脂肪を増やす
- 筋肉の増加を妨害する
糖質の過剰な摂取は肥満になる原因で、理由は血糖値の上昇にあります。
血糖値の急上昇は大量のインスリンを分泌して、今度は一気に血糖値が下がることで空腹感が生まれるからです。
インスリンって何だっけ?
インスリンはすい臓から分泌されるホルモンで、血液の中にある糖を体内に取り込むことで血糖を下げます。
注意
- 空腹時に糖質を過剰に摂取し血糖値が急激に上がる。
- 身体は急いで血糖値を下げようと大量のインスリンを分泌。今度は急激に血糖値が下がる。
- 身体は血糖が不足したと勘違いして空腹感を出す。
- 空腹を満たすため糖質の摂取。
この悪循環になると、過食するリスクが高くなります。
また、インスリンは血糖値を下げたり、アミノ酸の吸収を促進する素晴らしい効果の半面、脂肪の合成を促進するという働きもあります。
そのため、大量のインスリンの分泌は脂肪合成を促進しすぎてしまうので、血糖値の波を穏やかに保つことが大事です。
対処方法としては、糖質は小分けにして摂取したり、後述する低GI食品を意識して食べることが取り組みやすい方法になります。
同じ糖質量でも、分割して摂取することで血糖値の上昇は大幅に軽減できます。空腹時にドカ食いしたり、炭水化物だけ組み合わた定食など偏りには注意しましょう。
先ほどお伝えしたGIとは、「グルセミックインデックス」といい、食後血糖値の上昇を示す値のことです。
食品のGI値が高いほど血糖値が上昇しやすく、GI値が低ければ食後の血糖値が上がりにくいことを表します。
穀類・麺類 | 野菜 | 肉・魚 | おかし | 調味料 | |
---|---|---|---|---|---|
高GI | 食パン フランスパン コーンフレーク 精白米 もち | にんじん コーン ジャガイモ(ゆで) | なし | 砂糖を使用したもの全般 ケーキ せんべい | 上白糖 グラニュー糖 黒糖 はちみつ メープルシロップ |
中GI | うどん パスタ ロールパン クロワッサン | かぼちゃ トウモロコシ フライドポテト さつまいも | なし | ポップコーン ポテトチップス チョコレート | なし |
低GI | 玄米 五穀米 そば 全粒粉パン オールブラン | 上記以外の野菜 | ほとんどの肉・魚は低GI | ナッツ類(砂糖不使用) ブラックチョコレート | 上記以外の調味料 ※果糖・オリゴ糖は血糖値が上がりにくい |
一部の食品ですが、普段口にする機会が多いものは高GIに多いのではないでしょうか。
白米を玄米に変えるなど、ちょっと変化を加えるだけでも余分な体脂肪の抑制になります。
ですが、低GI食品に砂糖やはちみつなど調味料を大量に使用しては意味がありませんので注意してください。
糖質は必要だけど取り過ぎない。血糖値の上昇に注意しよう!
[脂質]ホルモンや細胞膜を合成。過剰摂取は肥満の原因。
脂質と聞くとすごく悪いものとイメージしやすいですが、脂質も身体には必要な栄養です。
1gあたり9kcalと糖質の倍以上のエネルギーがあり、体内に蓄えられる貴重なエネルギー源です。主な脂質の役割は、ホルモンを作ったり、細胞膜の構成といった作用があります。
時代と共に飽食となった今、美味しいものには脂質が多量に含まれるためどうしても過剰に摂取しやすくなってしまいます。
また脂肪にも「良い脂肪」と「悪い脂肪」があるため、ぜひ気にしてほしいポイントです。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
脂質は主に「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられます。
【飽和脂肪酸】:肉の脂身など動物性の脂肪に多く含まれる。悪玉コレステロールを増やす作用がある。
【不飽和脂肪酸】:植物性の油や魚油に含まれる。悪玉コレステロールを減らす作用がある。
いずれも過剰な摂取は望ましくありませんが、適量であれば健康に役立つ脂肪もあるのです。
特に、不飽和脂肪酸の中でもn‐6系、n‐3系と呼ばれる脂肪酸は身体に良いとされていて、その中でもn‐3系は積極的に取りたい脂肪酸です。
n‐3系の中でもDHA、EPAはマグロや青魚に多く含まれ、中性脂肪を下げたり血液をサラサラにする作用があります。
加えてDHA・EPAを摂取することで、筋力アップ効果が増したという研究報告もあるため積極的に取りたい栄養です。
優先順位
- n‐3系(必須脂肪酸)
- 一価不飽和脂肪酸
- n‐6系(必須脂肪酸)
- 飽和脂肪酸
必須脂肪酸は体内で作り出すことができない脂肪酸で、外部から摂取する必要があります。
n‐6系も必須脂肪酸ではありますが、比較的使用される頻度が高い油に含まれるので多量摂取に注意が必要です。
不飽和脂肪酸の摂取を心掛けよう!
【たんぱく質】筋肉の主成分。不足すると筋肉の分解が始まる。
筋トレやダイエットにおいて最も必要な栄養素と考えてもいいたんぱく質。
たんぱく質は1gあたり4kcalと糖質と同じエネルギー量です。たんぱく質は筋肉の主成分であり、他にも内臓や爪、髪の毛など多くの場で必要な栄養素になります。
たんぱく質の仕組み
たんぱく質は胃や腸で分解されると「アミノ酸」となり、肝臓に蓄積されます。
人体のたんぱく質は20種類のアミノ酸で構成され、9種類の「必須アミノ酸」と11種類の「非必須アミノ酸」に分けられます。
ポイント
【必須アミノ酸】体内で十分に合成できないため、食事から取る必要がある。
【非必須アミノ酸】体内で合成できるので、基本的に食事から摂取しなくても間に合う。
肝臓から必要に応じて各組織に送られることで栄養が供給されます。
1日のたんぱく質摂取量の目安
運動習慣の無い人でも、たんぱく質は体重×1g程度の摂取が推奨されています。体重70㎏であれば70gということです。
現状の筋肉量維持のために最低限必要とされる量ですが、バランスの取れた食事を3食取っていれば比較的摂取可能な量です。
例えばこのような献立であれば約40gのたんぱく質が摂取できます。
献立 | たんぱく質量 |
---|---|
ごはん300g | 7g |
焼き鮭1切れ | 15g |
納豆1パック | 12g |
牛乳コップ1杯 | 7g |
簡単そうではありますが、飽きであったり、忙しいから食事を抜いてしまったりすると必要量に満たないことも珍しくありません。
また日常的に運動習慣のある人、これから筋力増量やダイエットに取り組む人は体重×1.5~2.0gのたんぱく質摂取が望ましいと言われています。
体重70kgであれば140g前後のたんぱく質を摂取することが望ましいのですが、食事から140g摂取するのは意識しないと難しい上、更に糖質や脂質の管理も含めると食材選びも重要になります。
良質なたんぱく質の基準【アミノ酸スコア】
たんぱく質は摂取量も大事ですが、性質も非常に大事になります。
性質を見る基準として【アミノ酸スコア】があり、9種類の必須アミノ酸がどのくらい含まれているかを数値化したものです。
アミノ酸スコアは「100」が最も良い状態で、各必須アミノ酸がバランス良く含まれていることを示し、アミノ酸スコアが低い場合は何らかの必須アミノ酸が欠落しているため点数が下がっています。
食品で見ると、乳製品や肉類のたんぱく質は質が高い一方、白米や小麦粉はたんぱく質の含有量も少なく性質も劣ります。
そして注意するポイントは、9種類の必須アミノ酸のうち、低いものがあると基準が低くなります。
仮に「C」という必須アミノ酸が80しかなかった場合、その他の満たしている必須アミノ酸も80の効果になってしまうということです。
良いトレーニングをしたのに、質の低いアミノ酸を摂取してしまったらもったいないことになるので、おにぎりだけ食べるのではなく納豆や豆腐をプラスするなど、少し調節するだけでも筋肉は喜びます。
たんぱく質が不足すると筋肉が減る
ここまで「糖質」や「脂質」についてお話しましたが、エネルギー源であるこの2つが不足した場合、身体は筋肉を分解してエネルギーを作り出します。
【重要】筋肉の分解だけは絶対的に抑えていく必要があります。
ダイエットを意識した時には、糖質や脂質のコントロールが必要になるため、十分なたんぱく質を摂取しておくことが筋肉の分解を抑えることにつながります。
ダイエットの理想は【脂肪を減らして筋肉を維持向上させること】ですから、筋肉が減ってしまっては本末転倒なわけです。
日頃からたんぱく質の摂取は意識しましょう。
まずはしっかり「量」を確保しよう!「質」まで意識できたらバッチリ!
【ビタミン】身体に不可欠なエネルギーを作るサポート役。
ビタミンは身体を支える黒子役で、生きていくためには欠かせません。痩せるためにも必須になる栄養素です。
ビタミンの大きな役割としては、三大栄養素である【糖質】【脂質】【たんぱく質】の代謝を助けてくれることにあります。
しかし生理的な機能をサポートしてくれる一方で、体内で十分に作り出せないため、しっかり食事から摂取していく必要があります。
ビタミンの種類と性質
ビタミンには【水溶性】と【脂溶性】があり、文字通り水に溶けやすいのか、脂に溶けやすいのかで分類されます。
ビタミンは野菜や果物に多く含まれるイメージがありますが、肉や魚にも多く含まれます。
また調理方法も大事で、水溶性であれば煮込むとビタミンが流れ出てしまうので、スープにするなど工夫する事でもれなく摂取できます。
筋力アップに関わるビタミン
ビタミンの中でも特に筋力向上に働くものがあります。それがビタミンB6とビタミンDです。
ビタミンB6
- アミノ酸の代謝を助ける作用があり、取り込んだたんぱく質の利用効率を高める働きがある
- アミノ酸から別のアミノ酸を作り出す時にも補助として働くため、結果的に筋たんぱくの合成に貢献する
- ビタミンB2を一緒に摂取すると活性化する
注意したいのは、十分なたんぱく質を摂取してもビタミンB6が不足していると利用効率が悪くなります。
そのため、たんぱく質を取るときはビタミンB6を意識しましょう。またポイントとして、ビタミンB6の働きを活性化させるビタミンB2も一緒に摂取すると効率が上がります。
- ビタミンB6を含む食品は、にんにく、マグロ、かつお、サバ、鶏むね肉、鶏ささみ、鶏レバー。
- ビタミンB2を含む食品は、レバー(豚、牛、鶏)、うなぎ、卵黄、納豆、魚肉ソーセージ。
ビタミンD
- テストステロン(男性ホルモン)の分泌促進
- カルシウムの吸収を促進
テストステロンは男性ホルモンの一種で、簡単に言えば『男らしさ』を構成します。
ビタミンDを摂取すると、血中のテストステロンの濃度が向上したという報告がある一方、ビタミンDが不足すると筋肉量や筋力が低下したという報告があります。
また、カルシウムは筋肉が収縮するときに必要な成分で、日頃からカルシウムの吸収を高めておくことで筋トレの負荷を向上、結果的に筋力アップにつながります。
ビタミンDは食事からだけではなく、日光を浴びることで合成されるのが特徴です。
皮膚にある【7‐デヒドロコレステロール】が紫外線に当たると活性型のビタミンDに変化します。
食品ではいくら、カワハギ、鮭、いわし、ウナギ、サンマなど魚類に多く含まれます。
ビタミンは身体の土台だね!
[ミネラル]生理機能に関わる酵素やホルモンを助けるサポート役。
ミネラルは人体に必要な無機質の栄養です。
ビタミンと同様に体内では十分に作ることができないため、食事から摂取していく必要があります。
ミネラルは多量元素と微量元素に分けられ、魚類や海産物、乳製品に多く含まれています。
ミネラルはダイエットや筋トレに直接的に関わるものではありませんが、生理的な機能を支えているため欠かすことはできません。
カルシウムやナトリウム、亜鉛など聞き慣れたものもミネラルに含まれます。
「ミネラルってそういえば何だろう?」と思う方も少なからずいると思いますので、その時はこの表を思い出してください。
ビタミンと一緒でミネラルも身体の土台だ!
[食物繊維]炭水化物の一種。腸内環境を整えてくれる支え役。
食物繊維は腸内環境を整える役割があり、身体を作っていく上でとても重要な栄養素です。
腸内環境を整えるということは、摂取した栄養をしっかり吸収できる環境を作るということです。
ビタミンと同様に食物繊維をしっかり摂取することでダイエットや筋トレの効果を上げることができます。
食物繊維の種類
食物繊維には水に溶けない【不溶性食物繊維】と水に溶ける【水溶性食物繊維】があります。
【水溶性食物繊維】は海藻類に多く含まれ、体内で水に溶けるとネバネバした粘着質になります。
粘性が糖に吸着すると、小腸から糖の吸収スピードが遅れるため、血糖値の上昇が穏やかになります。
血糖値の上昇が穏やかになると、脂肪の合成を促進するインスリンの分泌も抑えることができます。
日本人は水溶性食物繊維の摂取量がかなり不足しているので、積極的に摂取する必要があります。
【不溶性食物繊維】は、豆類や穀類、きのこ類などに多く含まれ、腸内で水分を吸収して膨らむことで腸を刺激し、便通を改善する働きがあります。
便秘や軟便は腸内環境が良くないサインですから、改善するために不溶性食物繊維が活躍してくれます。
腸内の善玉菌を増やす効果がある
腸内環境を整えることは、筋トレの効果を増大させます。摂取した栄養をしっかり吸収できるようになるからです。
腸内には【善玉菌】と【悪玉菌】があり、いかに善玉菌を増やして活動的にするかが大事になります。
そこで役立つのが水溶性食物繊維になります。
腸内の善玉菌は99%がビフィズス菌が占めており、ビフィズス菌のエサになる水溶性食物繊維を摂取することでビフィズス菌が増殖します。
水溶性食物繊維は不足しがちですが、意識的に摂取することで様々なメリットを身体にもたらします。
栄養を吸収するために腸内環境を整えるのは必須だね!
まとめ
五大栄養素と食物繊維について述べてきました。栄養素の役割は次のとおりです。
【炭水化物】主なエネルギー源。過剰摂取による血糖値の急上昇に注意。
【脂質】体内に貯蔵できるエネルギー源。炭水化物の倍のカロリーがあるため摂取量に注意。
【たんぱく質】筋肉の主成分。最低でも体重と同じ数字のグラムを摂取。不足は筋肉分解の引き金。
【ビタミン】身体の土台となる栄養。多くの栄養の代謝を助けてくれる。
【ミネラル】身体の生理機能を支える栄養。ミネラルのおかげで「当たり前」がある。
【食物繊維】腸内環境を整える欠かせない栄養。腸の機能改善で効率的な栄養の吸収を。
私たちの身体は口から入れるもので構成されています。
自分の求める身体になるために、まず運動よりも食事を見直す必要があるといっても過言ではありません。
しかし、極端な変え方をしては心身ともにストレスで継続できません。
少しずつ「食べたいものを取る」ではなく「必要なものを取る」にシフトチェンジしていく。
ということが大事です。
日々、忙しく自炊できない場合にはコンビニの活用もおすすめです。
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